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ヤハウェ(エホバ)唯一神教はどのように生まれたか② コイノニアより


以下は、コイノニア講演会第6章より抜粋したものです。
http://www1.ocn.ne.jp/~koinonia/koenchaps.htm


私たちは一般に、一神教とはひとりの神を崇拝し、多神教は多くの神々を
拝むことだと考えています。

そして、日本は多神教の国であり、欧米はキリスト教だから一神教だ。
なんとなくそんなふうに考えています。
多くの知識人たちも、宗教を語るときに、この点をずいぶん大ざっぱに割り切って、
これを前提にして議論をしているようです。

ところが、一神教と多神教との関係は、実はそれほど単純ではありません。
 
 まず、一神教と唯一神教、多神教とその最高神、これらの関係から説明します。

モーセの十戒は、「あなたがたには、私のほかに神はいない」という宣言で始まります。

このことは、「あなたがた」以外の周辺の諸民族は、ヤハウェ以外の神々を拝んでいたことを意味しています。
すなわち、この宣言は、「神は宇宙にただひとりしかいない」と言っているのではありません。
大切なのは、「あなたがたには」のほうです。

モーセの民にとっては、神はヤハウェ一人だけである。こう言っているのです。

つまり、ほかにも神はいろいろあるけれども、あなたがたはそれらでなく、
一人の神だけを「主なる神」として礼拝しなさいという意味です

これが一神教です。
しかし、これは「唯」一神教ではありません
 
 イスラエルの神は、このように旧約時代の初期の頃には、一神教であったと言えます。
ところが、アッシリア帝国によって北イスラエル王国が滅び、バビロニア帝国によって
南ユダ王国が滅ぼされて、ヘブライ民族は捕囚として50年ほど異国の地にとらわれる
という厳しい体験をします。

この前後に、ヘブライの預言者と呼ばれる一群の人たちが現れます。
これらの預言者たちを代表する人物にイザヤという人がいますが、彼は、
ヤハウェこそ、全世界を支配する唯一の神であると宣言するのです。**

 この頃から、ヘブライの神こそ全宇宙を支配する超越した神であるという唯一神教が芽生え始めます。
一神教から唯一神教への移行が生じたと言えましょう。

注意しなければならないのは、唯一神教が、このように民族的な危機の中から
生まれてきたということです。


(補足*)旧約聖書成立
かなり以前から広く知られている事ですが、旧約聖書は歴史的順序では書かれておりません。最も重要な書と言われるモーセ五書は、バビロン補囚からの帰還後かなり遅い時期に書かれ、しかも創世記1章「天地創造」は、モーセ五書編集の一番最後に書かれたとも言われています。


ヘブライの神は本来一神教でない

 ところで、イスラエルの神は、そもそものはじめから一神教であったかと言えば、
実はこれも、それほど単純ではありません。

ヘブライ語の「神」を意味する「エロヒーム」は複数なのです。

このことだけでなく、旧約聖書には、ヘブライの神が、その原初から一神教ではなくて、それ以前に、イスラエル民族が多神教の影響を受けていた形跡があります。たとえば、旧約聖書には、太陽、火(セラフィーム)、風(ケルビーム)、巨人など、自然を人格化した表象表現や天使たちや巨人がでてきます。

これらは元来、太陽や風や火が、なんらかの霊力のあるカミとして崇拝されていた時代の痕跡を残しています。また神々が人間と交わって半神半人の英雄がいたことを示しています。
聖書で厳しく排除され、あるいは忌避される悪霊でさえもそうです
これなどは、おそらく外国のカミであったのが、唯一神教の影響で、悪の霊へと落とされていったと見ることもできます。

こう見てくると、ヘブライの宗教だけを通じても、多神教の影響から一神教へ、さらにヤハウェが「神々の神」として最高神となり、さらに唯一神教へ推移するという複雑な過程を認めることができます。


 補足  

(**)バビロン補囚期に、イスラエルの民衆の声は・・・何故神は約束の土地を奪い、神殿を焼き払い、我々を見捨てたのか?神の契約は偽りだったのか?・・・この絶望と不信感、それに預言者の厳しい声が重なり、原始信仰(ヤハウェーエロヒム)を超えた本格的宗教(ユダヤ教)が生まれたと考えられます。
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by hanamizukidayo | 2008-09-16 15:29 | 宗教