最近なるべく歩こうと、天気の良い日は電車やバス、もしくは歩きで
仕事先に向かうことが多い。今日は財布を忘れて出てしまい、
かろうじてポケットに入っていたスイカでバスを乗り継ぎ
駅前茶店で甘ったるいカフェモカをオーダーし、
一服してから店に向かった。
今日も夕方から義兄に店の手伝いを頼まれていた。
え~~っ、また来た~
こっちは朝から仕事してるっつうのに・・・・・(`´)
毎度ながらお願い電話に一瞬、ちょっとばかり、思わなくもないのだが、
「晩飯のオカズ用意しとくよ。肉がいいか?刺身か? 悪いね、悪いね」と
気を遣ってもくれる義兄なので、やっぱり困った時は身内同士、お互い様だ。
「じゃ、赤身でいいから刺身お願いしまーす」とOKしてしまう私。
引き受けるからにはお客商売、ニコニコ愛想良く気配り目配り。
運動不足解消のチャンスと、二階の階段を上ったり降りたり、
料理運びや洗い物、その合間に義兄の技術を盗んでいる。
と、言っても義兄は何でも教えてくれるし、味見もさせてくれる。
季節の物をうまく調理し、お客に喜んで貰うのが何より
生き甲斐のような義兄の姿もなかなかではないかと
心底思っている。口は悪いが優しい義兄夫婦だ。
昼間の仕事先は、週に2回行くプロテスタント信者ご老夫婦だった。
アルツハイマーのご婦人はもう半年も経つのに、介護人の
名前も顔も覚えられないが、すばらしい祈りをされる。
食事前だけでなくおやつの時も、ご主人ではなく祈るのは奥様だ。
コーヒータイムには、私の分まで用意して下さる優しい方である。
もちろん仕事なので、お断りするのが原則なのだが、
私はこの家では喜んでいただくことにしている。
「せっかくですけど戴いてはいけない決まりなんですよ。」
と一応断る。
「お手伝いに来て下さてるのだから、あなたは家族と一緒よ」
「じゃあ遠慮なく頂きますね。ああ美味しい~」
毎回このパターンだ。ご主人も穏やかな方で
体調の良い日は、教会の話や
軍隊で賛美歌を歌ったエピソードとか、現役時代の仕事のこと
あるいはニュースの話題など等、面白い話が尽きない。
もうかなり高齢なのだが、夫婦仲良い穏やかな生活振り。
教会へは行けなくても聖句は記憶になくても、激健忘症
であるのに、
清清しく部屋を整え、こざっぱりとした身だしなみ
人への気配り・・・ユーモアのセンスも豊かなこの方の
生き様は見事なお手本だと唸ってしまう私だ。
クリスチャンだから偉いとか、尊敬するというのではなくて
アルツハイマーになっても一般的に経過する物盗られ被害妄想などの
周辺症状が無く、人格の崩壊もなく、ただ物忘れが激しいだけ。
こういう方に私は今までお目にかかったことがない。
精神的な気高さに圧倒される。信仰の押し付けもない。
長い間九段教会に行っていたのよ・・・それだけである。
源氏物語を諳んじ、戦前師範学校2年で学ばれたという
神皇正統記を見せて頂いた時は、身震いするほど
嬉しくてならなかった。
昨日は娘さん夫婦がお迎えに来てクリスマス礼拝に行かれたそうだが、
本人はすっかり忘れておられたが、「日記」を読ませてもらうと昨日の
様子が詳しく書いてあった。
面倒くさいから行きたくないと仰っていたが、最近体調の良い
ご主人は「クリスマスくらい教会に行こう」と仰っていた。
私はと言えば・・・・昨日は息子に頼まれた用事や宅配の受けとり
モロモロで、礼拝に行きたかったが時間がなかった。
そんな訳で、用意しておいたが教会に届け損なってしまったカサブランカは
日頃の感謝を込めてその方にプレゼントした。「クリスマスおめでとうございます。」